世界一気持ちいい?タイ古式マッサージの3つの大きな特徴

タイ古式マッサージ(ヌアッド・タイ)は、タイ王国の伝統医学に基づいた手技療法です。
ゆったりとしたリズムで行われるその心地よさから、「世界で一番気持ちいいマッサージ」という異名を持っています。
一般的な揉みほぐしとは一線を画す、タイ古式ならではの3つの大きな特徴を解説します。
指圧とストレッチを融合させた「二人でするヨガ」
最大の特徴は、セラピストが受ける側の身体を使って様々なポーズをとらせるストレッチ技法にあります。
まるでヨガのような動きを行いますが、自分自身で筋力を使う必要はありません。
セラピストに全て身を委ねるため、「二人でするヨガ」や「なまけもののヨガ」とも呼ばれています。
自分でやるストレッチでは伸ばしきれない深層の筋肉までアプローチできるため、身体が硬い人ほど、その開放感とスッキリ感に驚くはずです。
エネルギーライン「セン」を刺激して自然治癒力を向上
タイ古式マッサージの理論では、人体には「セン(Sen)」と呼ばれるエネルギーの通り道があるとされています。
このセンを指圧や圧迫で刺激することで、滞っていた気や血液の流れをスムーズにします。
単に筋肉の凝りをほぐすだけでなく、内臓の働きを活性化させたり、自律神経のバランスを整えたりすることで、人間が本来持っている「自然治癒力」を高めることを目的としています。
そのため、施術後は身体が軽くなるだけでなく、深いリラックス効果が得られます。
足先から頭まで全身をくまなく施術するトータルケア
「肩が痛いから肩だけ揉む」という局所的な対処ではなく、身体全体を一つの繋がりとして捉えて施術するのも大きな特徴です。
施術は通常、足先から始まります。
足裏やふくらはぎを丁寧にほぐして血液のポンプ機能を活性化させてから、徐々に上半身、そして最後に頭の施術へと移ります。
約90分〜120分かけて全身をくまなくメンテナンスするため、施術後の血行促進効果や持続性が非常に高いのが魅力です。
【目的別】タイ古式マッサージのおすすめの頻度は?

「せっかく受けるなら効果を持続させたい」「通いすぎて身体に負担がかからないか心配」
そんな方のために、目的別のおすすめ来店頻度をご紹介します。
結論から言うと、タイ古式マッサージに「通ってはいけない頻度」はありませんが、目的に合わせたベストなペースは存在します。
慢性的な疲れ・体質改善を目指すなら「1〜2週間に1回」
長年のデスクワークで身体がガチガチな方や、ひどい肩こり・腰痛に悩んでいる方は、最初は1週間〜2週間に1回のペースで通うことをおすすめします。
人間の身体には恒常性(ホメオスタシス)があり、施術で姿勢を整えても、時間が経つと悪い姿勢や硬い筋肉の状態に戻ろうとする癖があります。
悪い癖が完全に戻りきる前に次の施術を受けることで、徐々に筋肉を柔軟にし、「疲れにくい身体」へと体質を書き換えていくことが可能です。
最初の2〜3ヶ月はこのペースで集中ケアを行い、調子が良くなってきたら間隔を空けていくのが理想的です。
健康維持・リラックス目的のメンテナンスなら「月に1回」
「特に辛い痛みはないけれど、健康を維持したい」「自分へのご褒美として癒やされたい」というメンテナンス目的の方は、月に1回のペースがおすすめです。
疲れがピークに達する前に身体をリセットすることで、大きな不調を防ぐことができます。
また、女性の場合は生理周期などに合わせて、毎月決まった時期に心身を整える習慣をつけるのも良いでしょう。
「月に一度の身体の大掃除」としてルーティン化することで、日々のパフォーマンスも安定します。
1回の施術時間は「90分以上」が効果的な理由
頻度と同じくらい重要なのが「1回あたりの施術時間」です。
一般的なマッサージ店では60分コースが標準ですが、タイ古式マッサージにおいては90分〜120分のコースが最も効果的だと言われています。
タイ古式マッサージは、ゆっくりとしたリズムで呼吸を合わせながら行うため、60分だと全身を十分にほぐしきれず、駆け足の施術になってしまいがちです。
全身のエネルギーライン(セン)をくまなく刺激し、深いリラックス状態(半覚半眠)に入るためには、最低でも90分以上の時間をかけることが推奨されます。
頻度を増やすのが難しい場合は、1回の時間を長くするのも一つの方法です。
予約前に確認!タイ古式マッサージを受ける際の注意点と禁忌事項

タイ古式マッサージは安全性の高い施術ですが、血行が急激に良くなったり、身体を動かしたりするため、受ける際の体調によってはNGとなる場合があります。
せっかく来店しても施術を断られてしまうことがないよう、事前に以下のチェックポイントを確認しておきましょう。
施術を避けるべき人(妊娠中・高血圧・骨折・発熱時など)
基本的にお店側から施術を断られる可能性が高いのは、以下の症状がある方です。
- 発熱している場合(血行促進により熱が上がる可能性があります)
- 飲酒している場合
- 骨折、捻挫、脱臼などの怪我をしている直後
- 重度の高血圧や心臓病、糖尿病などの持病がある場合
- 術後間もない場合
特に妊娠中の方については、安定期(妊娠5ヶ月〜)であれば施術可能なサロンもありますが、横向きのみの施術に限定されるなど制限がつきます。
万が一のリスクを避けるため、必ず事前にかかりつけ医に相談し、マタニティ対応コースがあるサロンを選ぶことが大切です。
食事の直後や飲酒後の施術はNG!最適なタイミングは?
食事の直後にマッサージを受けると、消化のために胃腸に集まるべき血液が全身に分散してしまい、消化不良を起こして気分が悪くなる可能性があります。
できれば食後1時間〜2時間は空けてから来店するのがベストです。
また、飲酒後のマッサージは厳禁です。
血行が良くなりすぎることでアルコールが急速に全身に回り、ひどい酔いや動悸、吐き気を引き起こす危険があります。
泥酔状態での来店はほとんどのサロンで「施術お断り」となりますので注意しましょう。
生理中の施術は可能?メリットとデメリット
結論から言うと、生理中でも施術を受けることは可能です。
むしろ、骨盤周りの血行が良くなることで生理痛が緩和されたり、イライラが解消されたりといったメリットを感じる方も多くいます。
ただし、血流が良くなることで経血量一時的に増える場合があります。
生理中に受ける際は、ご自身の体調と相談し、貧血気味の時や出血量が多い日は避けましょう。
また、施術前にセラピストに一言伝えておけば、お腹周りの圧迫を避けたり、大きく足を広げるストレッチを控えたりといった配慮をしてもらえます。
施術中の「痛み」はどうする?効果を最大化するポイント

タイ古式マッサージの効果を最大限に引き出すためには、セラピストの技術だけでなく、受ける側の「リラックス度合い」も重要です。
施術中に意識するだけで、満足度がグッと上がる2つのコツをご紹介します。
「痛い=効いている」は間違い?無理せずセラピストに伝える
「痛いほうがコリがほぐれる」「我慢したほうが効果がある」と勘違いされている方が多いですが、これは大きな間違いです。
過度な痛みを感じると、身体は防御反応としてギュッと力を入れてしまい、逆に筋肉が硬直して緩みにくくなってしまいます。
最も効果的なのは、痛みと気持ちよさが共存する「イタ気持ちいい」強さです。
セラピストはプロですが、感覚には個人差があります。
「痛い」と感じたら遠慮なく「少し弱めてください」と伝えましょう。
力加減を調整することで、深層の筋肉までしっかりとアプローチできるようになります。
呼吸を止めないことがリラックスの鍵
ストレッチの瞬間や、痛い箇所を押された時、無意識に呼吸を止めてしまっていませんか?
呼吸を止めてしまうと身体に力が入り、十分に筋肉が伸びません。
タイ古式マッサージは「呼吸」が非常に重要です。
特にストレッチで身体を伸ばすタイミングに合わせて、「ふぅー」と長く息を吐くように意識してみてください。
息を吐くことで副交感神経が優位になり、筋肉の緊張が解け、可動域が広がってより深いストレッチ効果が得られます。
施術後の過ごし方で効果が変わる?「好転反応」への対処法

マッサージを受けた後、「体がだるい」「眠くて仕方がない」と感じたことはありませんか?
これは「好転反応」と呼ばれるもので、身体が正常な状態に戻ろうとする過程で起こる一時的な反応です。
施術後の過ごし方次第で、マッサージの効果を持続させたり、不快な反応を和らげたりすることができます。
だるさや眠気が出た場合の対処法
施術によって急激に血行が良くなると、体内に溜まっていた老廃物が血液中に一気に流れ出します。
身体がそれを処理しようとするため、一時的にだるさ、発熱、眠気、筋肉の張りなどを感じることがあります。
これは副作用ではなく、身体が回復に向かっているサイン(毒出し)です。
もしだるさを感じたら、無理に活動しようとせず、身体の要求に従ってゆっくりと休息をとる(睡眠をとる)のが一番の薬です。
通常は1日〜2日で治まり、その後は以前よりも体がスッキリと軽く感じられるようになります。
老廃物を出すために水分補給をしっかり行う
マッサージでリンパや血流に乗って流れ出した老廃物を、速やかに尿として体外に排出する必要があります。
施術後は、常温の水や白湯、ノンカフェインのハーブティーなどを、いつもより多めに飲むように心がけてください。
この時、コーヒーなどのカフェイン飲料や、キンキンに冷えた飲み物は避けたほうが無難です。
水分をしっかり摂って循環を促すことで、デトックス効果を最大化し、翌日のスッキリ感を高めることができます。
激しい運動や長風呂は避ける
施術後の身体は、いわば「全身運動をした直後」と同じような代謝が良い状態になっています。
この状態で激しいスポーツをしたり、熱いお風呂に長時間入ったりすると、血行が良くなりすぎてのぼせや立ちくらみ、過度な疲労感を引き起こす危険があります。
当日はシャワーで済ませるか、ぬるめのお湯に短時間浸かる程度に留めましょう。
また、アルコールの回りも非常に早くなるため、当日の飲酒は控えるか、いつもより量を減らすことを強くおすすめします。
まとめ:正しい頻度と注意点を守ってタイ古式マッサージの効果を実感しよう

本記事では、タイ古式マッサージの特徴や効果的な頻度、知っておくべき注意点について解説してきました。
「二人でするヨガ」とも呼ばれるこの伝統療法は、単なるリラクゼーションを超え、体質改善や健康維持に大きな力を発揮します。
効果を最大限に引き出すためのポイントをおさらいしましょう。
- 体質改善なら最初は「1〜2週間に1回」、維持なら「月に1回」を目安にする
- 1回の施術は、全身をくまなくほぐせる「90分以上」がおすすめ
- 施術中は呼吸を止めず、痛みがあれば遠慮なく伝える
- 施術後は水分を多めに摂り、アルコールは控える
初めての方は不安もあるかもしれませんが、禁忌事項さえ守れば、タイ古式マッサージは非常に安全で満足度の高い施術です。
「最近、体の調子が悪いな」と感じたら、ぜひ一度プロの手を借りて、全身のエネルギーを整えてみてください。
定期的なメンテナンスを取り入れることで、疲れ知らずの軽やかな身体を手に入れましょう。